日本人の歯を失う理由として一番に挙げられるのが歯周病です。2018年に8020推進財団が行った調査によれば約40%が歯周病が歯の喪失原因となっているとこです。

また、2016年の歯科疾患実態調査では日本人が歯周病にどの程度かかっているかを4mm以上の歯周ポケットを持つ者を中心に調査を行いました。それによると年齢が高くなるにつれ増加し、45-54歳になると半数近くが4mm以上の歯周ポケットを持つようになります。歯周病の重度が高い6mm以上の者も年齢が高くなるに従い増える傾向にあります。

歯にこびりつく歯垢(プラーク)は、まさに細菌のかたまりで、わずか1mg中に10億もの細菌がすみついているといわれています。その細菌の中に、むし歯の原因菌や歯周病の原因菌がいるのです。では、歯周病の炎症に関係しているのはどのような細菌なのでしょう。現在、10種類の細菌がわかっています。その中でも歯肉炎を引き起こすのは歯周炎は歯周ポケットの中にひそむ空気を嫌う菌(嫌気性菌)が原因と言われています。その種類としては、P.gingivalis(成人性歯周炎)、P.intermedia(若年性歯周炎)などが知られています。つまり歯周病は細菌感染症といえます。

歯周病の初期症状である歯肉炎では歯ぐきがたまに腫れたり、赤く充血したり、歯ブラシに血がにじむ程度です。初期の歯周炎になると、歯周ポケットができ、歯周組織の破壊がはじまります。歯が浮くような感じがすることもあります。中期歯周炎になると、歯ぐきがやせたりブヨブヨになる、食べ物が歯にはさまりやすくなる、口臭がする、硬いものが噛みにくくなる…といった感じになります。やがて末期の歯周炎になると、歯槽骨がほとんど無くなり、歯の根が露出します。歯は著しくぐらついて、最後は抜け落ちます。

歯周病治療のリスク

全ての歯科治療において言える事ですが、絶対にうまくいく治療というのは存在しません。歯周病は100人の患者がいたら、そのうち10人は重症の可能性があり、そのうち一人は治療の効果が認められない可能性があります。患者さんの口腔内のプラークコントロールの状態や全身的な状態など、さまざまな要素が絡み合います。また、歯周治療で、スケーリングですら菌血症になるケースもあります。歯肉からいつも血が出ているような状態ですと感染も起こしやすいので、日々のブラッシングをしっかり行ったうえで治療に臨んでいただくべきです。

歯周病治療の期間、流れ

歯周病の治療期間は重症度に応じて変わりますが、軽度であれば2~3ヶ月程度、中等度以上で外科的な治療を行った場合、6ヶ月程度の通院が必要と見込まれます。またその後も悪化させないために口腔内の状態に応じて3~6ヶ月おきのメンテナンスが必要となります。

問診、歯周ポケット検査1、レントゲン検査、診断

スケーリング、クリーニング指導

歯周ポケット検査2

SRP

歯周ポケット検査3

歯周外科療法

メンテナンス

歯周組織再生療法

歯周病が進行すると、歯肉や歯槽骨などの歯周組織が破壊されてしまいます。
歯周病治療により、進行を止め、歯肉の状態を改善する事は可能ですが、一度失われた組織を元の状態に戻すことはできません。

つまり、歯周病治療が成功すると、歯肉の腫れや出血はなくなりますが、一度減った骨は再生しませんので、進行した歯周病では、歯はぐらぐらのままの事があります。
しかし、歯周組織再生治療により、骨を含む歯周組織の再生が可能になりました。歯周組織再生治療を行うことで歯牙の周囲骨の再生が可能となり、動揺のある歯牙の改善をできる可能性があります。