インプラントとは体内にチタンなどの金属などを埋め込む治療のことをいいます。整形外科領域で骨折後の固定のためにプレートやボルトを埋め込んだり、心臓ペースメーカーなどもインプラントと呼ばれます。歯科領域で行われるインプラントはむし歯や歯周病などの理由により歯を失った場合にかみ合わせや見た目を回復させるための治療です。インプラントの歴史は長く、古くは古代ローマ時代の遺骨から鉄製のインプラントが発見されたと報告されています。インプラントが現代の形になったのは1965年にスウェーデンの整形外科医のブローネマルク博士が人体にチタンのインプラントを臨床応用したのが始まりとされています。それから60年近くが経過していますが現代のインプラントの礎と言えるでしょう。
またブローネマルク博士により初めてインプラント治療を受けた患者さんは亡くなるまでの41年間、問題なくインプラントを使用し続けることができたとのことです。また研究結果からもインプラントの10年生存率は90%以上と非常に高く、適切なケアを受けていれば長期間使用できるものであると言えます。
インプラントは自分の歯のように使い心地がよいために、「乳歯」「永久歯」に続く「第三の歯」や「第二の永久歯」と呼ばれることもあります。
歯がなくなってできなくなったり、あきらめていたことが、インプラントによってもとどおりできるようになり、生活に豊かさが戻ってきます。
インプラントが難しいケース
インプラントが難しくなるケースとして以下のようなものが挙げられます
- 重度の歯周病
- 重度の糖尿病
- 骨粗鬆症
- 喫煙
- その他重度の全身疾患


重度の歯周病の場合、歯牙が失われた箇所の骨の吸収が著しいことや周囲の歯の歯周病の影響でインプラントの成功率が歯周病がない場合と比較して成功率が下がることが知られています。しかし、歯周病であってもしっかり治療を受けコントロールされていれば成功率は歯周病がない方と比較しても遜色ないレベルまで上がると言われています。また糖尿病の重症な場合、歯周病も重症化しやすいことで知られています。この場合、歯周病の治療を行うことも大事ですが、糖尿病のコントロールがされた状態で治療を行うことが望ましいでしょう。
長期的に骨粗鬆症用の薬を内服、静脈に注射を受けている方も要注意です。副作用にて顎骨壊死が生じる危険性があるので、担当医師と必ず相談いたします。
インプラントのメリット
インプラントの強みはしっかりと安定的に固定できる点です。インプラント治療では周囲の歯を削ったり、フックを掛けることで負担をかけたりすることがないため、残っている歯に対して負担が少ないことも特徴となります。
インプラントのメリットには以下のようなものが挙げられます。
- しっかりと強く咬める
- 自信を持って笑うことができる
- 左右でバランスよく咬める
- 取り外す面倒がない
- 食物をおいしく味わえる
- 自分の歯にかかる負担が減って長持ちする
- 隣の歯を削る必要がない
- 発音が安定して会話を楽しめる
- インプラントはむし歯にならない
- 見映えよく仕上げることが可能
インプラントのデメリット
- 全く自分の歯と同じように噛めるわけではない
- 治療期間が比較的長くなることが多い
- 状況により見た目の再現が困難なことがある
- 他の歯が抜けて義歯を入れる場合、インプラントに不用意にフックをかけるとインプラントにダメージが加わることがあるため、義歯のデザインが制限されることがある
- 外科処置を行うため痛み・腫れ・出血などの合併症の可能性がある
- お手入れ次第がおろそかになると感染することがある
- 治療費が比較的高額
インプラントを検討中の方へ
当院では、カウンセリングに時間をかけ、患者さまが何を求めているのかを汲み取ることを心掛けています。
インプラント外科では外科的侵襲が伴いますので、特に説明には時間をかけご納得いただいてから治療を行うことを徹底しております。
このカウンセリングから得た患者さまの「お悩み」「ご希望」を把握し、しっかりと今の状態を検査させていただいてから、患者さまを第一に考えた治療計画を立てていきます。
医院選びで重要なこと
医療行為は人と人との付き合いです。前述したようにインプラント治療は、インプラント体を埋入し、上部構造(差し歯)をセットしてお終いではありません。
上部構造をセットしインプラントの使用を開始した日から、クリニックと患者さまとの長い二人三脚がスタートします。
施術実績のみではなく、そのクリニックをいかに信頼出来るかこそが、医院選びに一番重要と考えます。